大学では、古典落語の好きな先輩に誘われて落語研究会に入り古典芸能の面白さを知りました。当時は学園祭で噺家さんを何人か呼んだことがあります。そのうちのひとり、立川談志師匠が、医学部の刀城会館に来てくださり、彼の落語「らくだ」を聴いた時のことは今でもよく覚えています。
数学は子供の頃から好きでした。私は、群大在学中、さらに専門数学を学びたくなり、大学卒業後は、大学院への進学を選択しました。学部生の頃、どうしても分からないことがあると、先生の研究室を訪ね質問をしました。当時、先生から丁寧に答えていただいたことは大変ありがたかったなと思っています。
学位を取得する際には、当然、新しい結果を論文にしなければならないので、数学と一緒に生活をするような日々を送っていました。また、ノルウェーの数学者であるスターマーの論文の誤りを手紙で指摘したことが切っ掛けで、デンマークの数学者ハーゲラップと知り合うことが出来ました。彼と共同研究を行い、共著論文を書いたことは一番の思い出です。
教員になってからは、自分が大学生だった時にお世話になった恩師のように、「学生は何が分からないのか」を確認しながら、丁寧に説明するよう心がけていました。
在学中に国際的な感覚を身につけておけば良かったなと思います。特に語学力は必要だと思います。英語で読み書きは出来るのですが、若いころ、いろんな人と出会い、話をする際に、ディスカッションに追いつけず残念な思いをしたことが思い出されます。
学生時代には、人生の中で、「自分にとって大事にしたい」ことを見つけた方がいいと思います。夢や目標は、その都度あるかもしれませんが、人生の糧として、変わらない確固たるものを見つけられるといいと思います。自分が希望する通りには進まない場合もあると思いますが、そういうなかでも、何が大事であるか、その確固たるものがあると、やり遂げられるのではないかと思います。